大和葡萄酒では、世界に通じるワインをつくるために日々研究を行なっています。土壌の改良や水分量の調整など、多岐にわたる研究で、最高のワインをつくることを目指しています。
すべては勝沼のワインが世界に認められるために。
欧州では、ブドウ畑の土壌が石灰質であるうえ、ミネラル分を多く含む硬水を使用されるため、生産されるワインにもミネラル分が多く含まれます(100g当りのミネラル分含有量は15~20mg)。その結果、長期保存に適し、味にも複雑さが増します。それに対して日本の土壌にはミネラル分が少なく(100g当りのミネラル分含有量は4.4mg)、水も軟水のため、欧州のワインと比べると長期保存に向かず、味にも特徴がないと言われてきました。
そこで、土中のミネラル分をどのように補うかという課題解決の手段として、ミネラルの主成分であるカルシウムを多く含んだ貝殻に着目しました。
山梨県の煮貝は江戸時代から400年以上の歴史がある特産品ですが、その製造時に廃棄されるアワビの貝殻はこれまで産業廃棄物として廃棄されていました。私たちはこの貝殻を肥料として活用する事に思い当り県内の煮貝メーカーや水産仲卸業者に協力を求め、2008年より実験を始めました。
回収した貝殻を細かく砕いたり、高温で焼成化したのち、粉砕したものを畑や葉に散布し、吸収を促進するための試行錯誤を続けた結果 、ついにミネラル豊富なブドウを栽培する独自の技術を確立しました。
実験では様々な条件のもと、畑や葉に12tの貝殻を散布しました。さらにその条件下においてブドウを栽培し、くり返し科学的検証を行いました。
その結果、貝殻を散布したブドウは通常のブドウより、カルシウム含有率が高く、100g当りのミネラル分含有量は無散布で4.4mgであったのに対して、貝殻を散布したものは9.6mgと2倍以上の数値を示しました。
また醸造したワインにもその結果がそのまま反映されていることも確認できました。
現在、ワイン中のミネラル含有量を956ppm(100g当りのミネラル分含有量が9.56mg)まで上昇させる事に成功しており、さらに5年計画でミネラル分を1500ppm(100g当りのミネラル分含有量を15mg)に向上させていくことを具体的な目標として、世界品質のワインを追求していきます。
土壌の改良だけでなく、大和葡萄酒では数々の研究を行ないながら、日本のワインを世界基準に近づける努力を続けています。
日本のワイン産地勝沼が、世界のワイン愛好家に注目される日が来ることを信じて、
日々の努力を怠りません。新しい日本のワインを創造する事を目的に発足した「ミネラル甲州プロジェクト」は、醸造原料であるブドウの生産、肥料となる貝殻の供給など、山梨県内の企業や農業家が連携して行うプロジェクトであることから
経済産業省により農商工連携事業に認定され、支援を受けています。